都議選予定候補者たちは
どう考える?
杉並区を流れる善福寺川の上流にて計画されている東京都の計画「地下調節池」について、2025年6月に行われる都議選の予定候補者はどう考えるのか?私たちはアンケートを実施しました。その結果をご報告します。
私たちの訴え(工事見直し)に賛同している予定候補者(問1、3、4で「反対」を選択した方々)

日本共産党原田 あきら
水害対策として機能しないことが最大の問題。環境負荷も甚大。

生活者ネットワーク小松 久子
費用対効果、環境保全、住民無視の進め方のいずれにおいても問題あり。

無所属金 まさのり
費用対効果が示されていない。治水工事のみで総合的な気候変動対策がない。

れいわ新選組海保 とくま
本計画は一定の効果は見込めるも機能安全に依存した対症療法に過ぎない。
アンケート実施概要
実施期間:3月後半から順次依頼し、依頼から2週間後に締め切り。未回答者には2回の催促メールを配信。
依頼方法:現職都議には3月21日に都議会各派控室で手渡し(不在の方には代理の方へ)。加えてメールでも依頼。新人予定候補者には手渡しもしくはメールで依頼。
回答方法:返信用封筒による返送、回答用web サイトへの入力、またはメールで回答受領。
質問項目※問1、3、4 は必須。2は任意
- 問1本計画は東京都によると工期17 年、総事業費1,557 億円であり、これに伴い公園と緑地が削られ20余軒の民家の立ち退きが迫られるものです。一方東京都から示された費用対効果(B/C)は、神田川流域河川整備計画全体のものであり、善福寺川上流地下調節池の公共事業としての意義や効果を示してほしいとの住民の要求に応えるものではありません。この状況下、計画を進行させることに賛成しますか。(賛成/反対の選択式)
- 問2その理由をお聞かせください。(自由記述)
- 問3東京都が善福寺川上流地下調節池単独の費用対効果(B/C)を明らかにしないことについてどう考えますか。(賛成(示さなくてもよい)/反対(示すべき)の選択式)
- 問4立退だけでなく区分地上権設定は50 軒超にのぼり、少なくとも20 年以上の用地取得期間が確実視されます。区分地上権設定後は土地登記にシールドマシンが記載されますが、予定地には分譲マンションも含まれており、合意形成はほぼ不可能です。この状態で先に立坑工事を始めれば、シールドマシンが動けないまま工事現場だけが数十年先まで放置されることになります。あなたは立坑工事を始めるべきと考えますか?(賛成(始めるべき)/反対の選択式)
回答
政党 届け出名 |
問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 回答受領 |
---|---|---|---|---|---|
日本共産党 原田 あきら |
反対 | 回答内容はこちら | 反対 | 反対 | 4/11 |
生活者ネットワーク 小松 久子 |
反対 | 回答内容はこちら | 反対 | 反対 | 4/18 |
無所属 金 まさのり |
反対 | 回答内容はこちら | 反対 | 反対 | 4/18 |
れいわ新選組 海保 とくま |
反対 | 回答内容はこちら | 反対 | 反対 | 4/18 |
立憲民主党 関口 健太郎 |
反対 | 回答内容はこちら | 反対 | 選択なし | 4/29 |
都民ファースト あかねがくぼ かよ子 |
賛成 | 回答内容はこちら | 反対 | 反対 | 4/11 |
日本維新の会 松本 みつひろ |
賛成 | 回答内容はこちら | 反対 | 賛成 | 4/3 |
自由民主党 小宮 あんり |
選択なし | 回答内容はこちら | 選択なし | 選択なし | 4/11 |
再生の道 青柳 みつや |
未回答(回答しない旨の連絡あり) | ||||
再生の道 こすみ けんしろう |
未回答(回答しない旨の連絡あり) | ||||
再生の道 増田 よしひこ |
未回答(回答しない旨の連絡あり) | ||||
公明党 まつば 多美子 |
無反応 | ||||
自由民主党 早坂 よしひろ |
無反応 | ||||
国民民主党 国崎 たかし |
無反応 |
※並び順は、会への賛同項目数/現職・新規/回答新着順
問2(自由記述)でいただいた回答全文
日本共産党 原田 あきら
水害対策として長期間にわたり機能しないことが最大の問題です。貴重な公園の破壊や住民の立ち退きなど上流部での調節池は環境負荷が大きく、代替案も含め慎重な検討が求められていたのにもかかわらず、一切の事前対応なく進められている点も認められません。
生活者ネットワーク 小松 久子
貴会が主催された2/22の専門家会議に参加しました。そこで3人の専門家が指摘された費用対効果、環境保全、住民無視の進め方、いずれの面においても問題の多い事業だということがわかりました。洪水対策を名目に市民の暮らしを壊す事業には賛同できません。一方、グリーンインフラ整備はまだできる余地があり、CO₂削減の意味からも緑化への取り組みにさらに尽力すべきだと思います。
無所属 金 まさのり
総事業1,557億円の費用に対し、効果(便益)が示されないことに驚いています。
提示の法的義務のありなしにかかわらず、事業投資に対し効果(収益)を示すことは一般企業では基本中の基本であり、効果不明の事業計画はありえません。それは、私たちのふだんの買い物も同じです。コスパの「パ」が分からないものにお金は出さないでしょう。
【もちろん、水害対策は何より住民の安心と安全確保を最優先に検討されなければなりません。高い豪雨予測と対策は、安心度が増す良いことのように見えます。しかし、一方で、豪雨予測が高ければ高いほど工事の大規模化が認められる構造を持っています。しっかりとした豪雨予測、地域内での影響予測も含めて、費用対効果(便益)は算出されるべきと考えます。】
今回の事業は、「気候変動により発生する水害対策」とされていますが、そもそもの気候変動対策には触れず、治水工事のみの計画になっています。現在の計画をいったん白紙に戻しましょう。生態系の回復、緑陰形成、調整池や遊水池整備、雨水貯蓄などグリーンインフラ整備計画も含め、都各局の横断的連携による「総合的な気候変動対策計画」の立案が必要です。
総合的な気候変動対策の計画や実施、目標達成には、住民の積極的な参画が欠かせません。地域の未来のため、「みんなの幸せ」のための計画を作りましょう。そのためなら私もできる限り計画づくりのお手伝いをします。
れいわ新選組 海保 とくま
都市化の進行により、地域の保水力が低下し、それが水害の一因となっていると考えます。地下調節池の整備は、確かに一定の効果は見込めるものの、機能安全に依存した“対症療法”に過ぎません。想定を超える豪雨などによって、被害が再発する可能性も否定できません。
本質的な安全性を確保するためには、地域全体の保水力を高めるグリーンインフラの推進こそが必要だと考え、今回の計画には反対いたしました。
立憲民主党 関口 健太郎
基本的には善福寺川上流地下調節池の計画には賛成です。ただ、設問にあるような費用対効果や情報公開は必須です。また都議会立憲民主党として住民合意と住民に寄り添う姿勢を見せないのであればそれは容認ができません。
都民ファースト あかねがくぼ かよ子
激甚化する豪雨から都市機能を守るための地下河川を構築する上で必要な計画であるため
日本維新の会 松本 みつひろ
善福寺川上流地下調節池計画は、善福寺川の氾濫による浸水被害に毎年のように苦しめられてきた地域が、長年にわたり都に要望してきた事業であり、グリーンインフラとグレーインフラを併用することにより治水を目指すべきと考えています。問3、問4についてはYesかNoでしか回答できないフォームになっていますが、意図を説明せずに済むような問題ではありませんので、それぞれについて補足説明を記載します。問3ですが、単独のB/Cを示さない理由を把握されていますか。B/Cが1に満たないという想定に基づき開示を求めているように感じていますが、計画全体のB/Cが1を超えているので必要な施策であると都が考えているように捉えています。そのあたりは仲間内の議員を通じてどのように議論されていらっしゃいますでしょうか。数字は示すべきと考えますが、その数字が1に満たない場合でも、事業の必要性を認識し、費用の縮減に努めながら進めるべきと考えています。問4については、区分地上権設定のルートを状況に応じて見直していく可能性があるのではないかと思いますが、事業の早期完成が必要であるという立場から、立杭ヤード建設含め、速やかに事業を執行することを求めていきます。
自由民主党 小宮 あんり
平成17年9月4日、杉並区は1時間112ミリの集中豪雨に見舞われました。私は当時、阿佐谷におりましたが、恐怖を覚えるほどのひどい雨でした。善福寺川沿いの浸水被害は1659棟にのぼり、被災された皆様の大変なご労苦、ご心痛を伺いました。その後、平成19年に環七地下の調節池が完成したのち、環七より下流の地域においては川からの溢水はありません。
この20年、幸いにも杉並区では1時間100ミリを超える降雨はありませんが、平成25年の台風では長い雨が降り続き、環七の調節池も満杯となったり、お近くの仲よし広場地下の調節池は平成29年に完成しましたが、翌平成30年3月、令和5年6月など複数回にわたり満杯となり、川沿いにお住いの方々からは、河川の更なる豪雨対策を望む声があります。
また平成30年8月には世田谷区で1時間111ミリ、昨年の7月には板橋区で1時間109ミリの降雨が観測され浸水被害が出ていることや、昨今の異常気象を考えれば、杉並区で再び1時間100ミリを超える水害はない、とは言えません。
川というのは言うまでもなく、上流から下流に注ぐようにつながりのあるものです。そのことからも、河川の水害対策工事の費用対効果は「流域」という広範囲で考えることが現実的であると思います。
公園、緑地への影響は木の移植をすることなど最小限にとこれまで都に要望してきましたが、近隣にお住いの皆様にとっては長期間にわたる工事ゆえのご不安やご心配、反対の意見があることも承知しておりますし、移転を迫られる上流の原寺分橋付近の皆様には長年に渡りその地を愛し、暮らしてこられた知人もおり、私自身、とてもとても胸が痛い思いが強くあります。その点は、近隣への移転を望まれる方などに対し丁寧に支援するための窓口を、河川工事においては初めて、設けることとなりました。いずれにしても、移転まで求めなければならないことは私もとても辛いです。本当に申し訳なく思います。
しかし、ここまで宅地化された住宅街で、グリーンインフラの整備促進だけでは、残念ながら水害対策になるまでの整備とはいえず、結局その雨は川に戻ってゆくものでもあります。「1時間に100ミリを超える雨なんて降らない」とか、「浸水被害にあう地域に住んでいる人がそもそも問題なのだ」といったような意見も聞きましたが、政治や行政の責任として、いつ起こるか分からない地震や水害といった災害に備えて、皆様の貴重な税金で、最大限の効果を発揮する対策を進めなければなりません。
工事に「賛成」か「反対」か、だけでは計れない、それぞれの思いや現実、役割があることをご理解頂けるよう、書かせて頂きました。以下の問3については、文中に述べさせていただいた通りです。問4については、「合意形成はほぼ不可能です。」という想定のご質問には申し訳ありませんがお答えしかねます。
今と、将来の都民が、この施設があって水害から守られた、と実感していただけるよう、ご迷惑をおかけして本当に申し訳ないのですが、ご理解を頂けるように努めてまいります。